扶養内勤務とは?103万や130万円の壁ってなに?扶養内で働くメリット・デメリットは?今さら聞けない「扶養内」についてわかりやすく解説!

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学生や主婦(夫)をターゲットにした求人広告の中でよく見かけるのが「扶養内」というキーワード。 『扶養の範囲内で働かないと損をする』『扶養内で収まるようにしたい』などという会話を聞いたことがあるかもしれませんが、実際のところ具体的な金額やどんな仕組みなのかはっきりとはわかっていない方も多いのではないでしょうか。 扶養内とは一体何のことなのか、どんな人が対象になるのか、などの基本的な内容から、メリット・デメリットや注意点についてまとめました。

※この記事では、妻を被扶養者、夫を扶養者の場合でご説明します。

目次

  1. そもそも扶養内とは
    • 1.1 まず「扶養」の意味
    • 1.2 「扶養内」=『扶養控除が受けられる範囲』
  2. 「103万円の壁」「130万円の壁」ってなに?
    • 2.1 100万円の壁
    • 2.2 103万円の壁
    • 2.3 106万円の壁
    • 2.4 130万円の壁
    • 2.5 150万円の壁
    • 2.6 201万円の壁
  3. 扶養内で働くデメリットってあるの?
    • 3.1 扶養から外れるメリットは?
  4. まとめ

そもそも扶養内とは

まず「扶養」の意味
扶養とは、自分一人の力で生活することが難しい人が、家族や親族から経済的な援助を受けること(養われること)を意味します。
例えば、「妻が夫の扶養に入る」とは、自力での生活が難しい人=妻が、家族=夫から経済的な援助を受けること、となります。
ちなみに学生の場合では、親の扶養に入るということになりますね。
「扶養内」=『扶養控除が受けられる範囲』

それを踏まえた上で「扶養内で働く」とは『扶養控除が受けられる範囲の中で働く』ということを意味するキーワードととらえて良いでしょう。
「扶養控除」という言葉が出てきましたが、これには『税制上の扶養』と『社会保険上の扶養』の2つの制度を含めて「扶養控除」と使うことが多いようです。

仕事をすると納める義務が発生する所得税や住民税の控除、また配偶者控除・配偶者特別控除など主に税金に関するものを『税制上の扶養控除』といい、健康保険や年金など主に社会保険等に関するものを『社会保険上の扶養控除』といいます。

例えば、妻が夫の扶養に入っている場合、夫の『社会保険上の扶養』に入ると、妻は社会保険料を負担することなく夫の社会保険に入ることができます。
また『税制上の扶養』に入ることになれば、夫の所得税や住民税の負担が軽くなります。

これらの扶養に入るには、妻の年収がある一定の額を超えないこと、つまり年収の壁を超えないことが条件となります。年収の壁を超えて稼いで扶養から外れてしまうと、夫の税金が増えたり、社会保険料を自分で支払う必要が出てくるので、注意しなければならないため、パートなどで働く主婦(夫)の方が多く気にするのです。

「103万円の壁」「130万円の壁」ってなに?

『税制上の扶養控除』と『社会保険上の扶養控除』どちらでも好きな方を受けることができるの?
年収の壁ってどういうこと?

とここまで読んだら、疑問が出てきたのではないでしょうか。

実は、誰でも好きな扶養を選んで入れる、というわけではなく、年収の金額によって受けられる控除の種類が変わってきます。
これが年収の壁、いわゆる「103万円の壁」「130万円の壁」などと言われるものです。

先ほど出たように、妻(被扶養者)が一定の額の年収を稼いでしまうと、扶養から外れることになり、自分の所得税が控除されないばかりでなく、親や配偶者など扶養者の税の負担も増え、世帯全体の手取り額が減ることに。そうならないためには、受けたい控除の範囲をしっかりと知り、年収の調整をしていく必要があります。

ちなみに控除を受けることができるかどうかを判断するために必要な年収額の確認は、年始に発行される源泉徴収票で「支払金額」という欄に記載されている額で判断します。この「支払金額」が年収となります。

現在、様々な「壁」があるので、とりあえず複雑な説明はここではせず、概要だけご紹介いたします。自分が当てはまる、もしくは希望する壁を図と合わせて見つけてみてください。

※(注意!)源泉所得税や社会保険料などを差し引いた、手取りではなく総支給額(年収)を見てください!

扶養の表

100万円の壁

年収100万円を超えると、妻自身(被扶養者)が住民税を納める必要があります。
※厳密に言うと自治体によって93万円~100万円と金額が異なりますので、お住いの自治体にご確認ください。

この時点では、所得税・社会保険料の負担はなく、夫(扶養者)は配偶者控除を受けることができます。

103万円の壁

年収103万円を超えると、妻自身(被扶養者)が所得税を納める必要があります。

所得税は所得(収入から必要経費を引いて残った額)にかかる税金のこと。
しかし所得税は、収入から基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を差し引いた残りの額に課税されるため、収入が控除額の合計103万円を超えなければ、必然的に所得税を収めなくて済むということになります。

※基礎控除は誰でも受けられる控除で、給与所得控除は、仕事のために使用するスーツや文房具等の「経費」の代わりになるものと思えばOKです。

106万円の壁

勤務先が従業員501人以上の場合、年収106万円を超えると、自身で社会保険料を納める必要が出てきます。

※適用するかどうかの判断は実際は月額8.8万円で行うため「年収106万円」という数字は、あくまで制度をわかりやすく説明するための目安となります。
また、8.8万円にはボーナスや皆勤手当、通勤手当などを含まない場合もあるため、年収が106万円を超えていたとしても、社会保険が適用されないこともあるのでご注意ください。

130万円の壁

年収130万円を超えると、自身で社会保険料を納める必要があります。

※年収の壁の一番のポイントはここ。130万円を少し超えるだけの稼ぎ方をしてしまうと、たくさん働いたのに結果的には収入が減る、といういわゆる「働き損」になってしまうかも。
130万円を超える働き方を希望する場合は、保険料と年金を負担するため、150万円以上(月収12万円以上)〜170万円以上(月収14万円以上)まで稼ぐことができれば、世帯収入はプラスとなります。

150万円の壁

年収150万円を超えると、配偶者は配偶者控除を受けられなくなります。

※妻(被扶養者)の給与所得が年収150万円以下であれば、夫(扶養者)の所得から最大38万円の所得控除を受けられます。

201万円の壁

年収201万円を超えると、配偶者は配偶者特別控除を受けられなくなります。

※配偶者特別控除とは、配偶者控除の対象にできない配偶者のケースでも適用できる所得控除のことです。
配偶者特別控除を受けるには、妻(配偶者)を養っている夫(納税者)の所得金額が1,000万円以下である必要があります。

扶養内で働くデメリットってあるの?

扶養内で働けば、経済的な負担を軽くできるというメリットの一方で、扶養内で働くデメリットはあるのでしょうか。

実は『社会保険上の扶養』に入る場合は、受給できる健康保険の給付金の内容が一部制限されてしまいます。病気やケガで仕事を休んだ場合の傷病手当や出産手当金など、仕事ができない期間の保障を受けることができなくなってしまうのです。

また、厚生年金の支払いがないため、将来的に受け取れる年金は国民年金保険料を納めている人と同額分となり、将来のために蓄えを別で準備する必要がある場合も考えられます。

扶養から外れるメリットは?

所得税や社会保険料の負担はありますが、将来の受け取れる年金額が増えたり、被扶養者では受給できない傷病手当金や出産手当金を受け取れます。
たくさん働けば、その分収入になるので、単純に世帯収入が増える場合もあります。
手厚い保障を重視するなら扶養から外れてしまってもメリットは大きいと言えるでしょう。

さらに、扶養内では働く時間が限られるので責任のある仕事を受けることができず、キャリアアップが難しい場合も。しかし扶養を外れてしまえばその心配もありません。
結婚しているからと言って必ずしも扶養に入る必要はなく、働く時間を気にせず思いっきり仕事をしたいという方にはメリットとなります。

まとめ

「扶養内」「扶養範囲内」「扶養控除内」などの言葉は、「税金や社会保険の負担を軽くしながら働ける範囲」という意味となることを説明しました。

家計を少しでも助けるために、できるだけ稼ぎたいけど家庭の環境でたくさんは働けない…だったらできるだけ負担がかからないように働きたいという方には、扶養控除というのは家計にありがたい制度となっています。 一方で、できるだけたくさん稼ぎたい、長時間働ける環境だという人は、年収の壁にこだわらず、扶養から外れた働き方をしたとしても、結果的に世帯収入がプラスになる場合もあるので、どのくらいの収入だとご自身やご家庭の希望に合うのか、求人情報を見る際には、時給と勤務日数を使って計算してみて、条件に合う仕事を見つけてみてください。

今の自分の状況も大事ですが、元気に働ける間に、将来のことも考えて扶養に入るべきかどうかしっかり検討して、プラスとなる働き方をぜひ選択してほしいと思います!

この記事がお役に立てれば幸いです。